笠ヶ岳(個人山行) ~ 雨、風の3日間
- 仲谷
- 2023年10月9日
- 読了時間: 4分
更新日:2023年10月15日
登山日 2023年9月26日(火) ~ 28日(木)
参加者 仲谷
コース 新穂高温泉 … 小池新道 … 鏡平 … 笠ヶ岳 … 笠新道 … 新穂高温泉

日々体力が落ちていくのを感じていた。そこで、座骨神経痛の回復状況と現在の体力状況を確認しようと笠ヶ岳山行を計画。体力、脚力ともに一抹の不安があるので同行者がいると迷惑をかけそうだから単独で行こう。笠新道の直登は少々不安だから小池新道を進んで鏡平山荘で一泊、弓折乗越から稜線を進んで笠ガ岳に登頂しようと計画をした。
9/26 9月22日の週間天気予報は26日~28日は3日間通して晴れだった。高山市内は晴れ間ものぞいていたが新穂高温泉に着く頃には空はどんよりとした重いものに変わっていた。風穴を過ぎたあたりから小さな雨粒が落ちてくる。わさび平小屋の前で雨具の上を着る。下ってくる人はそれなりにいるが登る人はいない。秩父沢は第1も第2も崩落跡が激しい。木製の橋は残っているがその周りが流されていて迂回路が作られていた。小雨の中を2人の男性が復旧作業をしていた。イタドリヶ原に着く頃には雨脚も強くなってきた。雨具の下も着けて進む。風も強くなりかなり寒い。鏡平山荘に着いて受付を済ませ、すぐに乾燥室へ。衣類以外は乾燥室持ち込み禁止だった。冷え切った体に乾燥室の暖かさがありがたい。受付で何事かもめていた。一人の男性が ”予約はしてないが疲れてしまったので泊めてほしい” と言っているようだ。 “本来は予約なしは泊められない。無理をしても下山してもらう。今日は空いているから泊めてあげる” と言うようなことを若い女性スタッフが告げていた。夕食の時に食堂に集まったのは20名強の宿泊者だった。
9/27 雨は降り続いていた。ガスも深くて視界は3~4m。雨具を着て小屋を出た。弓折乗越への細い登りに入って下山してくる人が現われた。次から次へと、10名ほどの外人のグループやソロの男女、二人連れ三人連れと、その数50~60人に達した。少しずつしか前に進めず、小屋から弓折乗越までで1時間30分以上かかってしまった。その間も雨にたたかれて体が冷えてくる。大ノマ乗越をすぎて、登山道に5~6羽の雷鳥が現われた。近づくと少しずつ逃げていく。カメラがぬれないように注意をしながら数枚の写真を撮った。大ノマ岳が近づくと本降りになり、風も強くなった。ガスも深くなり視界も狭くなった。雨に打たれるのも2日目となり、雨具の中も濡れてきて体が冷えてくる。寒くて手もかじかんでくる。小笠の前を通り笠小屋に到着。貸してくれたタオルで雨具とザックカバーを拭き上げて受付をするが体が冷えていてうまく文字が書けない。体が震えるのでホットミルクを作ってもらった。本日の宿泊は3名なのでそれぞれに6人部屋を1名貸し切りにしてくれるそうだ。乾燥室も靴からザック、雨具と全て乾させてもらえた。靴の中の水気取りに新聞紙ももらえた。食堂で体を温めるように勧められて食堂に行く。ストーブの前には男女が話をしていた。日本酒を飲みながらしばらく話をする。立山安全協会の若い男性と小屋のスタッフの女性だった。酒も残り少なくなる頃にもう一人の宿泊者が到着。神奈川から来たと言うソロの女性だった。その女性も強風と雨に遭い寒いと言い、顔色も悪くて小刻みに震えていた。ストーブだけでは暖まらないとみたのか、年配のスタッフが体が温まるまで乾燥室に入っているように促す。20時の消灯後もダンダンと大きな音が続く。強い風斬り音とガラスをたたく雨の音に何度も眠りを妨げられた。

9/28 雨具も靴も乾燥していて気持ち良く着けることが出来た。ガスが深く視界不良。雨も風もやんでいないが出発。稜線は風が強くて寒い。足下も水が流れていて歩きにくい。笠新道を下ると、杓子平あたりからたびたび登山道が川になっていた。左手からはどんどん水が流れてきて、とんでもなく歩きにくい。乾いていた靴の中がぐちょぐちょになった。樹林帯に入って一息着く。2,000mの草付きあたりで雨がやんだ。樹林帯を一人二人と登ってきた。明日は好天だとのこと。羨ましい。12時、新穂高温泉帰着。なんとか無事に下山が出来た。下山届を提出して今回の山行が終了した。

ずいぶん前のことになるが『仲谷君、雨の山も楽しかろうが?』と、山形さんによく言われていた。雨にぬかるんだ山道は滑りやすくて歩きにくい。景観も全然よろしくないので気分転換が出来ない。おまけに当時の雨具は透湿性が低くて蒸れて大汗をかいて、雨に濡れなくてもびしょびしょになっていた。私の返事はいつも同じ『雨は嫌ですよ。』
ー ー 今も当時と同様 “雨は嫌ですよ、山形さん” ー ー
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